スイッチングハブ(Switching Hub)とは、LANケーブルと通信機器との中継の役割を担うネットワーク機器のことで、「SW-HUB」と表記されることもあります。
ここでは、スイッチングハブの役割や特徴、使い方までわかりやすく解説します。
<目次> 1.スイッチングハブとは? スイッチングハブの役割 スイッチングハブとリピータハブの違い スイッチングハブのメリット 2.スイッチングハブの選び方 ①伝送速度 ②ポート数 3.スイッチングハブの機能 4.メディアコンバータの接続方法・構成例紹介 5.あとがき
スイッチングハブとは?
スイッチングハブ(Switching Hub)とは、LANケーブルと通信機器との中継の役割を担うネットワーク機器のことで、「SW-HUB」と表記されることもあります。
複数の機器に接続することが可能で、接続されている機器のMACアドレスを学習することで特定の機器のみにデータを伝送することが可能です。
スイッチングハブについて、2010年よりスイッチングハブを自社開発している大電が解説します。
スイッチングハブの役割
スイッチングハブの役割は大きく2つあります。
- 複数の機器をネットワークに接続する
ルーターやハブと同様に、スイッチングハブはLANケーブルを介して接続することでパソコンやスマートフォンなど複数の機器をネットワークに接続することができます。
- 特定の機器のみに対してのデータ送信
スイッチングハブは、複数の機器がネットワーク接続を行っている場合でも、特定の機器だけにデータ送信することができます。これは、スイッチングハブが、データの中にあるMACアドレスとIPアドレスの情報をもとに宛先を特定することができるためです。
スイッチングハブとリピータハブの違い
一般的に呼ばれる「ハブ」はリピータハブとも呼ばれています。ここではスイッチングハブとリピータハブの違いについて解説します。
スイッチングハブとリピータハブの違いは”特定の機器にデータを送信できるかどうか”です。
リピータハブは、複数の機器をネットワークに接続する機能はありますが、受信したデータを接続しているすべての機器に送ります。
そのため、無駄なデータが送信されることが多く、伝送効率が悪くなってしまう場合があります。
一方、スイッチングハブは、先ほど述べたようにMACアドレスを学習することができ、複数の機器がネットワーク接続を行っている場合でも、必要のある経路のみにデータ送信することができます。
また、リピータハブは通信速度が同じ機器やネットワークのみの中継を担うことができます。
一方で、スイッチングハブは後ほど詳しく解説しますが、ブリッジ機能を持っているため、通信速度が異なる機器やネットワークの中継も担うことができます。
スイッチングハブのメリット
リピータハブと比較してスイッチングハブを使用するメリットとしては、まとめると以下のようなことが挙げられます。
■特定の機器に対してデータ送信を行うことができる
■無駄なデータ送信を防止することで伝送効率を高める
■10M/100M/1G/10Gなどの通信速度が異なる機器やネットワークの中継を担うことができる
スイッチングハブの選び方
ここからは、スイッチングハブを選定するときの2つの切り口について解説します。
機器選定ソフトも用意していますので、大まかな条件を把握している場合はぜひご利用ください。
- 伝送速度
まずは、100M・1000M(1G)・10Gなど、どの速度に対応した機器と接続する必要があるのかを確認しましょう。
メディアコンバータを選ぶ時に比べると、スイッチングハブは基本的に速度変換が可能な「ブリッジタイプ」ですので、接続する機器の伝送速度を確認するだけでOKです。
◼️ブリッジタイプとは
接続する機器の通信速度が異なる機器同士の通信を可能にする機能のことです。
速度変換が可能ですので、将来的に接続機器を更新し通信速度が変更になった際でも、そのまま利用できます。
送受信データをチェックしているため、エラーパケットは破棄しますが、リピータタイプと比べると伝送遅延が発生します。 - ポート数
ポート数とは、ネットワークに接続できる接続口の数のことです。ネットワークに接続したい機器の数を確認し、スイッチングハブのポート数を決定しましょう。
当社スイッチングハブ製品には、4ポートから18ポートまで様々なポート数のスイッチングハブがあります。
また、ポートにはメタルポートと光ポートの2種類がありますので、どちらのポートがいくつ必要なのか確認しましょう。
◼️メタルポート
LAN等UTPケーブルを接続できるポートになります。主に、一般的なオフィスのネットワークなどで使用できます。光信号を伝送する必要がなければ、メタルポートで問題ありません。
◼️光ポート
光ケーブルを接続できるポートになります。UTPケーブルによる伝送は最長で100mまでですが、メディアコンバータでメタル信号から光信号に変換することで、100m~百数十kmまで伝送距離を延長できます。
また、UTPケーブルはメタル(銅)のため、設備からのノイズや雷の影響を受けてしまいます。そこで、光ファイバを利用することで、雷やノイズの影響を回避できます。
そのため、伝送距離を延長したい場合や落雷・ノイズ対策をしたい場合には、光通信を行うために、光ポートを選択しましょう。
スイッチングハブの機能
スイッチングハブには、以下のような機能を備えている製品があります。設置環境や用途に応じて、必要な機能が搭載されている製品を選びましょう。
◼️光モジュール監視機能
スイッチングハブに実装したSFP・SFP+(電気信号を光信号に変換する光モジュール)の状態読み込みを行う機能です。接続できているか、通信速度が問題ないか等を遠隔にて確認できます。
◼️PoE給電対応機能
LANケーブルを通して、受電機器に対して給電できる機能です。
PoE給電対応機能を持つスイッチングハブは、ネットワークの集線装置としての役割にPoE給電能力が加わったもので、単体で複数台の機器にまとめて給電できるのが最大のポイントです。
故障すると接続しているすべての受電機器に影響を及ぼしてしまうため、信頼性の高い製品を選ぶことが重要となります。
PoE給電については下記ページに詳細を記載していますので、ご確認ください。
◼️アドレス学習機能
MACアドレスを学習する機能で、アドレス学習機能を有効か無効か選択できるスイッチングハブがあります。
アドレス学習機能を有効にした場合、MACアドレスを学習することで関係のないポートにはパケットを転送しなくなります。
〈アドレス学習機能有効の場合〉
アドレス学習機能を無効にした場合、MACアドレスを学習しないことですべてのポートにデータを転送するため、周辺端末のパケットのキャプチャが可能になります。
〈アドレス学習機能無効の場合〉
スイッチングハブの接続方法・構成例紹介
スイッチングハブの接続方法
最後にスイッチングハブの接続方法について簡単に解説します。
スイッチングハブの基本的な接続方法は、接続したい機器のLANポートとスイッチングハブをケーブルで接続するだけです。
こんなときは?【スイッチングハブを2台以上接続したい】
先ほど紹介した接続方法が一般的ですが、スイッチングハブを複数台接続してさらに多くのデバイスをネットワークに接続したい場合もあるかもしれません。
その時には、図のようにスイッチングハブ同士をケーブルで接続することで複数台接続が可能になります。
ただし、スイッチングハブ同士を多く接続しつづけると、データが伝送帯域を圧迫して通信速度が低下してしまう可能性があるので注意が必要です。
スイッチングハブの構成例
最後に、当社のスイッチングハブ製品で主に使用される構成例についてご紹介します。
◼️河川・道路監視ネットワーク
複数の河川・道路監視カメラ等のデータを光ファイバを通じてインターネットを接続し、遠隔にて監視します。
当社スイッチングハブ関連製品
当社ではインテリジェントスイッチングハブの他に、産業用スイッチングハブ等環境耐性の強いスイッチングハブ製品もラインアップしています。その他、光モジュール等のオプション製品もございますので、使用環境に応じて、組み合わせてご利用ください。
メディアコンバータ
収納シャーシ
SFP/SFP+
DINレール
固定用金具
DC電源アダプタ
あとがき
簡単にまとめると、スイッチングハブとはLANケーブルと通信機器との中継の役割を担うネットワーク機器で、主に複数の機器をネットワークに接続し、特定の機器のみに対してデータ送信を行いたい時に使用されます。
製品選定の際には2つの切り口をご確認くださいね。
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