PoE(ピーオーイー)とは、Power over Ethernetの頭文字をとったもので、通信に利用するLANケーブルで電力供給を行う技術のことです。LANケーブル1本で通信と電力供給を同時に行えるため、電源が用意できない場所にもカメラや無線アクセスポイントなどを設置できるようになります。
ここでは、PoEを利用するメリットやPoEスイッチとインジェクターとの違いなどをわかりやすく解説します。
<目次> 1.PoEとは? PSEとPD PoEのメリット PoEのデメリット・注意点 2.3つの標準規格とUPOE ①PoE ②PoE+ ③PoE++ ④UPOE 3.PoEスイッチングハブとPoEインジェクターの違い PoEスイッチングハブ PoEインジェクター 4.あとがき

PoEとは?
PoE(ピーオーイー)とは、Power over Ethernetの頭文字をとったもので、通信に利用するLANケーブルで電力供給を行う技術のことです。LANケーブル1本で通信と電力供給を同時に行えるため、電源が用意できない場所にもカメラや無線アクセスポイントなどを設置できるようになります。


PSEとPD
まず、PoEには給電タイプと受電タイプがあります。
- PSE(給電機器)
電力を供給する側の機器をPSE(Power Sourcing Equipment)といいます。給電機器にはPoEスイッチやインジェクターなどがあります。
- PD(受電機器)
給電を受け動作する側の機器をPD(Powered Device)といいます。受電機器にはネットワークカメラや無線アクセスポイント、IP電話機などがあります。
PoEのメリット
- 電源工事が不要
接続するカメラなどの機器には電源が不要なので、電気工事をする必要がありません。
工事費用の削減に繋がります。
- 省配線
接続するカメラなどの機器には電源ケーブルやACアダプタが不要なので、LANケーブルのみのシンプルな配線を実現できます。
- 設置場所が自由
監視用のネットワークカメラや無線アクセスポイントは、屋外や天井などに設置されることがよくあります。PoE対応機器であれば、電源がない場所や電源が確保しづらい場所にも柔軟に設置できます。
PoEのデメリット・注意点
- 機器が高価
PoE対応のスイッチングハブやカメラなどは、非対応のものと比べると価格が高くなってしまいます。
電源工事が不要でも機器のコストは高くなるので、トータルコストで考えましょう。
- 距離に制限がある
規格上、LANケーブルで給電できる距離は最大で100mと定められています。
PoEパススルー機器を利用すれば、100m以上に延長することも可能です。
- 発熱しやすい
データ通信のみを行うスイッチングハブと比較すると、PoE対応のスイッチングハブは発熱しやすい点に注意が必要です。特に、給電容量が大きいものは消費電力が高く、発熱しやすい傾向にあります。
3つの標準規格とUPOE
PoEはIEEE(アイトリプルイー)で定められた標準規格のため、異なるメーカの機器を組み合わせて使用することが可能です。IEEEには現在3つの規格がありますが、その他にもCiscoの独自規格がありますのであわせてご紹介します。
PoE | PoE+ | PoE++ | UPOE | |
---|---|---|---|---|
規格 | IEEE 802.3af | IEEE 802.3at | IEEE 802.3bt | Cisco独自 |
策定年 | 2003年 | 2009年 | 2018年 | 2011年 |
最大供給電力 (1ポートあたり) | 15.4W | 30W | 60W(タイプ3) 90W(タイプ4) | 60W |
適応ケーブル | カテゴリ3以上 | カテゴリ5e以上 | カテゴリ5e以上 | カテゴリ5e以上 |
通信規格 | 10/100/1000BASE-T | 10/100/1000BASE-T | 10/100/1000BASE-T 10GBASE-T | 10/100/1000BASE-T 10GBASE-T |
- PoE
1ポートあたり最大15.4Wの給電が可能です。4対のツイストペアのうち2対をデータ通信用に使用し、残りの2対で給電を行います。
- PoE+
PoE(IEEE 802.3af)のアップデート版で、1ポートあたり最大30Wの給電が可能です。
- PoE++
2018年に新たに標準化された規格で、1ポートあたり最大90Wの給電が可能です。
- UPOE
Ciscoによって開発された独自規格で、1ポートあたり最大60Wの給電が可能です。PoE/PoE+の上位互換となっており、UPOE対応機器はPoE/PoE+でも使用できます。
PoEスイッチングハブとPoEインジェクターの違い
PoE給電を利用しようと思った際には大きく2つの方法が考えられます。1つはPoE対応のスイッチングハブを利用する方法、もう一つはPoE非対応のスイッチングハブとPoEインジェクターを組み合わせる方法です。
ここからは、それぞれのメリットとデメリットを比較していきます。
PoEスイッチングハブ
PoEスイッチングハブは、ネットワークの集線装置としての役割にPoE給電能力が加わったもので、単体で複数台の機器にまとめて給電できるのが最大のポイントです。故障すると接続しているすべての受電機器に影響を及ぼしてしまうため、信頼性の高い製品を選ぶことが重要です。

<メリット>
1台で済む、複数台の受電機器に給電が可能
<デメリット>
価格が高い、発熱しやすい
PoEインジェクター
PoEインジェクターは、PoE非対応のスイッチングハブにPoE機能を追加する機器です。基本的には給電対象となるのは1台のみですが、商品によっては複数台に給電できるものもあります。

<メリット>
価格が安い、既存の機器にPoE給電機能を後付けできる
<デメリット>
障害点が増える、給電対象は1台のみ
あとがき
今回はPoEの基本的な情報から、PoEスイッチとインジェクターの違いまでをご紹介しました。
当社のPoE対応スイッチは、道路監視など監視カメラとの接続で多くの採用実績があります。PoE対応機器を利用したネットワーク構築をご検討の際には、お気軽にご相談ください!