現代の企業活動において、業務効率を左右する「ネットワーク環境」。しかし、ネットワークの不安定や通信速度の低下、トラフィックの集中など、さまざまな課題に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
特に、デバイスの増加やクラウドサービスの利用拡大により、ネットワーク負荷が増大している昨今、効率的なネットワーク管理が求められています。そんな課題を解決するのが、インテリジェントL2スイッチです。
今回は、インテリジェントSW-HUB(L2スイッチ)を検討中の方へ、製品選びをサポートとして、当社のインテリジェントSW-HUBのご紹介とそれぞれの製品の特長について分かりやすく解説します。
〈目次〉 1.L2スイッチとは? L2スイッチの基本的な役割 インテリジェントSW-HUBとノンインテリジェントSW-HUB 大電のインテリジェントL2スイッチが選ばれる理由 2.大電のインテリジェントL2スイッチ 製品ラインアップ 大電インテリジェントL2スイッチ 製品機能のご紹介 製品概要と主な比較ポイント 3.どのインテリジェントL2スイッチを選ぶべきか? 4.あとがき

L2スイッチとは?
L2スイッチ(レイヤ2スイッチングハブ)とは、ネットワーク機器の一種で、主にデータリンク層(OSI参照モデルの第2層)で動作するスイッチングハブです。
L2スイッチの基本的な役割
①特定の機器のみへのデータ送信
L2スイッチは、接続されたデバイスのMACアドレスを基に、データを適切なポートに転送します。これにより、無駄なトラフィックが削減され、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させます。
②基本的なトラフィック管理
単純なデータ転送だけでなく、VLANを用いて論理的にネットワークを分割したり、QoSでより重要なデータ通信を優先するなど、基本的なトラフィック管理が可能です。これにより、ネットワークの安定性と効率性を確保します。
③複数の機器をネットワークに接続する
多くのポートを備え、PC、サーバー、プリンター、IP電話、監視カメラなど、多数のデバイスを効率的にネットワークに接続します。
④光通信の延長
SFPなどの光モジュールとL2スイッチを組み合わせて使用することで光通信の伝送距離を延長させることができます。
⑤伝送媒体を変換
メタルケーブル(UTP)と光ファイバーケーブル間で信号を変換する機能を持つため、異なる種類のケーブルが混在する環境でもスムーズな接続を可能にします。
L2スイッチは、中小規模から大規模なネットワークまで幅広く活用されており、オフィス、工場、学校、公共施設などのネットワーク構築において欠かせない存在です。
インテリジェントSW-HUBとノンインテリジェントSW-HUB
L2スイッチは、さらにその機能によって「インテリジェントL2スイッチ」と「ノンインテリジェントL2スイッチ」の2種類に分けられます。
・インテリジェントL2スイッチ
ネットワーク管理者がWebブラウザやSNMP、Telnet/Consoleなどを介して、スイッチの設定変更や稼働状況の監視、詳細な管理機能(VLAN設定、QoS、ループ防止機能など)を行うことができるL2スイッチです。複雑なネットワーク環境で、高い信頼性やセキュリティ、運用効率が求められる場合に採用されます。
・ノンインテリジェントL2スイッチ
設定や管理機能を持たず、通信のみに機能を絞ったL2スイッチです。安価で導入が容易なため、小規模なネットワークや、特別な管理が不要な場合に利用されます。
当社ではどちらのL2スイッチもラインアップがありますが、今回はより高度なネットワーク管理を実現する「インテリジェントL2スイッチ」に絞って製品をご紹介します。
大電のインテリジェントL2スイッチが選ばれる理由
数あるL2スイッチの中で、なぜ大電のインテリジェントL2スイッチがお客様に選ばれているのか。その大きな理由を3つのポイントに絞ってご紹介します。
・国産ならではの安心と信頼
大電は設計・開発及び製造工場も国内であることから、国産ならではの安心と信頼、実績があります。また、導入後も万が一何か不具合が起きたりお困りごとがあった際には、当社の技術担当者が電話対応いたしますのでサポート面も安心です。
・高耐久性を実現するFANレス設計
大電のインテリジェントL2スイッチは、すべてFANレス設計を採用しています。冷却ファンがないことで、以下のような多くのメリットを提供します。
①静音性:オフィスの静かな環境を妨げず、快適な作業空間を維持します。
②防塵性:ファンによる空気の吸い込みがないため、粉塵の多い工場や倉庫などの環境でも内部にホコリが侵入しにくく、故障のリスクを低減します。
③高信頼性:可動部品であるファンがないため、部品の摩耗による故障リスクがなく、長期にわたる安定稼働を実現します。
④メンテナンスコスト削減:定期的なファンの清掃や交換が不要なため、運用コストの削減に繋がります。
・過酷な環境にも対応する広い動作保証温度
大電のインテリジェントL2スイッチは、他社品と比較して動作保証温度が広いことが大きな特徴です。例えば、令和六年度版国交省標準仕様書タイプDに準拠しているDN5161Eシリーズは「-20~60℃」の範囲で動作を保証します。
これにより、温度変化の激しい工場や倉庫、屋外のキャビネット内、厳寒地域や酷暑地域など、一般的なオフィス環境外といった過酷な環境下でも、機器の安定稼働を保証します。
大電のインテリジェントL2スイッチ 製品ラインアップ
大電は、お客様の多様なニーズに応えるため、高性能なインテリジェントL2スイッチをラインアップしています。ここでは、製品に搭載された主要な機能と、主な製品シリーズをご紹介します。
以下は、当社のインテリジェントL2スイッチ DN5107Eシリーズ、DN5110Eシリーズ、DN5161Eシリーズ、DN5162Eの主な仕様を比較した一覧表です。
基本的には、通信速度、ポート、PoE対応有無、管理機能が主な違いになります。

【大電のインテリジェントL2スイッチ製品機能のご紹介】
当社のインテリジェントL2スイッチは、お客様のネットワーク運用を効率化し、安定稼働を支える多彩な機能を搭載しています。
・SNMP監視
SNMP(Ver1,Ver2,Ver3 / MIB-Ⅱ,Private MIB)をサポートします。SNMPv3では、ネットワーク上を流れるSNMPパケットを認証・暗号化することによってセキュリティ機能を実現します。
・Webサーバー機能
Webブラウザから装置の状態表示やパラメータ設定が可能です。専門知識がない担当者でも直感的に設定変更や状態確認ができ、導入・運用負荷を軽減します。
・外部記憶装置対応(MMC)
外部記憶用カードに保存されたファームウェアや設定ファイルで起動させることで、メンテナンスや機種交換作業を用意に行うことが可能です。また、本体のログ情報をリアルタイムでコピーすることができます。メモリ容量32GByte(SDHC)まで対応しています。
・防湿コーティング
基板表面に防湿コーティングを施していますので、湿度から基板を保護しESDや腐食性ガスの影響を受けにくくなっています。結露や化学物質の影響を受けやすい環境下でも機器の長寿命化と安定稼働に貢献し、故障による業務停止リスクを低減します。
・MSTP機能
MSTPにより、VLANごとにTopologyを変えることが可能で光回線断や伝送機器故障時にループ化された健全伝送回線へ切り替えることにより通信経路を形成します。(IEEE 802.1D / IEEE 802.1w / IEEE 802.1s)
なお、MSTP多段接続モード時には最大254台のループ構成が可能です。
・PoE給電対応
UTPケーブルを使用してPoE/PoE+/UPOE対応機器に対して給電可能です。これにより電源工事が不要となり、機器設置の自由度が高まります。装置全体のPoE最大供給電力は60W版が最大61.6W、120W版が最大120Wとなっています。(1ポートあたりはどちらも最大60W(UPOE)となっています。)
・PoEオートリブート機能
接続されたPoE-PD機器のフリーズを検知し、PoE出力制御にてPD機器をリブートさせることで、自動復旧を試みることが可能です。監視カメラや無線LANアクセスポイントなどがフリーズした場合でも、現場に行かずに遠隔で再起動させ、迅速な復旧とメンテナンスコストの削減を実現します。
製品概要と主な比較ポイント
以下は、当社の主要インテリジェントL2スイッチシリーズ(DN5107E、DN5110E、DN5161E、DN5162E)の主な仕様を比較した表になります。製品選定の際の参考としてご確認ください。
| シリーズ名 | ポート数(メタル/光) | 通信速度(光) | PoE対応 | 機能 | 特徴的な機能 |
|---|---|---|---|---|---|
| DN5107Eシリーズ | メタルポート:8 (Comboポート:3) 光ポート:4 (Comboポート:3) | 100M | なし | ・SNMP監視 ・Telnet/console | - |
| DN5110Eシリーズ | メタルポート:8 (Comboポート:2) 光ポート:4 (Comboポート:2) | 100M/1000M | なし | ・SNMP監視 ・Telnet/console ・Webサーバ | ・外部記憶装置対応(MMC) ・防湿コーティング |
| DN5161Eシリーズ | メタルポート:8 (Comboポート:2) 光ポート:4 (Comboポート:2) | 100M/1000M | PoE/PoE+/UPOE対応 | ・SNMP監視 ・Telnet/console ・Webサーバ | ・外部記憶装置対応(MMC) ・防湿コーティング ・PoEオートリブート機能 |
| DN5162E | メタルポート:8 光ポート:2 | 1000M/10G | PoE/PoE+/UPOE対応 | ・SNMP監視 ・Telnet/console | ・外部記憶装置対応(MMC) ・防湿コーティング ・PoEオートリブート機能 |
※上記は主な仕様の抜粋です。詳細については、各製品の個別仕様をご確認ください。
製品詳細ラインアップ比較
以下は、当社のインテリジェントL2スイッチ、DN5107Eシリーズ、DN5110Eシリーズ、DN5161Eシリーズ、DN5162Eの主な仕様を比較した一覧表です。基本的には、通信速度、ポート、PoE対応の有無、管理機能が主な違いとなります。
| シリーズ名 | 型番 | 定格入力電圧 | ポート | 通信速度 | 準拠規格 | 機能 | 価格(税抜) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| DN5107Eシリーズ | DN5107E-AC | AC100/240V | メタルポート:8 (Comboポート:3) 光ポート:4 (Comboポート:3) | 【メタル】10M/100M 【光】100M | 【メタル】 IEEE802.3 10BASE-T IEEE802.3u 100BASE-TX 【光】 IEEE802.3u 100BASE-FX | 【管理機能】 ・SNMP監視 ・Telnet/console | オープン価格 |
| DN5107E-DC12V | DC12/24V | ||||||
| DN5107E-DC24V | DC24/48V | ||||||
| DN5110Eシリーズ | DN5110E-AC | AC100/240V | メタルポート:8 (Comboポート:2) 光ポート:4 (Comboポート:2) | 【メタル】10M/100M/1000M 【光】100M/1000M | 【メタル】 IEEE802.3 10BASE-T IEEE802.3u 100BASE-TX IEEE802.3ab 1000BASE-T 【光】 IEEE802.3u 100BASE-FX IEEE802.3z 1000BASE-X | 【管理機能】 ・SNMP監視 ・Telnet/console ・Webサーバ 【その他機能】 ・外部記憶装置対応(MMC) ・防湿コーティング | |
| DN5110E-DC12V | DC12/24V | ||||||
| DN5110E-DC24V | DC24/48V | ||||||
| DN5161Eシリーズ | DN5161E-AC-60W | AC100/240V | メタルポート:8 (Comboポート:2) 光ポート:4 (Comboポート:2) | 【メタル】10M/100M/1000M 【光】100M/1000M | 【メタル】 IEEE802.3 10BASE-T IEEE802.3u 100BASE-TX IEEE802.3ab 1000BASE-T 【光】 IEEE802.3u 100BASE-FX IEEE802.3z 1000BASE-X | 【管理機能】 ・SNMP監視 ・Telnet/console ・Webサーバ 【その他機能】 ・外部記憶装置対応(MMC) ・防湿コーティング ・PoE/PoE+/UPOE給電対応 | |
| DN5161E-AC-120W | |||||||
| DN5161E-DC120W | DC48V | ||||||
| DN5162E | DN5162E-AC-60W | AC100/240V | メタルポート:8 光ポート:2 | 【メタル】10M/100M/1000M 【光】1000M/10G | 【メタル】 IEEE802.3 10BASE-T IEEE802.3u 100BASE-TX IEEE802.3ab 1000BASE-T 【光】 IEEE802.3z 1000BASE-X IEEE802.3ae 10GBASE-R | 【管理機能】 ・SNMP監視 ・Telnet/console 【その他機能】 ・外部記憶装置対応(MMC) ・防湿コーティング ・PoE/PoE+/UPOE給電対応 |
より詳細な仕様や、各シリーズ対応の光モジュール一覧は、以下のページからご確認ください。
どのインテリジェントL2スイッチを選ぶべきか?
お客様の用途に最適な製品を選ぶための選定基準をまとめました。以下の選定基準を参考に、用途に最適な製品を選んでください。
- 100Mで光ネットワークを構築したい ・・・ DN5107E
基本的なネットワーク環境で、コストを抑えつつ安定した100M光回線(光ファイバーネットワーク)を構築したい場合に最適です。 - 100M/1Gの混在した速度で光ネットワークを構築したい ・・・ DN5110E
既存の100M機器と最新の1G機器が混在する環境で、柔軟な光ネットワークを構築したい場合に適しています。防湿コーティングや外部記憶装置対応など、信頼性・運用性を高める機能も充実しています。 - 監視カメラやPoEデバイスの運用が必要な環境、100M/1Gの混在した速度で光ネットワークを構築したい ・・・ DN5161E
PoE給電機能が必須で、監視カメラや無線LANアクセスポイント、IP電話などのPoE受電デバイスを多数運用する環境に最適です。配線工事の手間を省き、PoEオートリブート機能で遠隔からの迅速な復旧も可能です。 - 高速な10G回線で光ネットワークを構築したい ・・・ DN5162E
高速な10G回線が必要な基幹ネットワークやサーバー間の接続、大容量データ転送が求められる環境や、PoE給電機能が必須でPoE受電デバイスを多数運用する環境に最適です。1G機器との連携も必要な場合に最適なL2スイッチです。
これらの選定基準に加え、伝送距離やそのほか詳細な選定に関係する光モジュールの選定方法については、メディアコンバータの選定方法と大きくは変わりません。
詳細については各製品の仕様書をご確認いただくか、各営業所窓口までお問い合わせください。
あとがき
今回は、インテリジェントL2スイッチの導入を検討されている方々へ向けて、L2スイッチの基礎知識、そして当社のインテリジェントL2スイッチ「DN5107E」「DN5110E」「DN5161E」「DN5162E」の4つの製品について、その特徴や選定ポイントを比較・ご紹介しました。
型番まで選定できましたら、無償で検証機の貸し出しも行っておりますので、ご購入前に接続に問題がないか、ぜひご確認ください。
製品の仕様に関する疑問や、製品選定でお困りごとがございましたら、お手伝いさせていだたきますので、問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
