工場やインフラ設備の現場では、いまも多くの接点信号や、4–20mAなどのアナログ信号が使われています。
これらは装置の状態やプロセス量を表す、現場にとって重要な情報です。
一方で、遠隔監視やデータ活用を進めるには、こうした信号のIP化・ネットワーク化が求められます。
当社のネットワーク機器には、以下のようなアナログ・接点関連製品があります。
DN9400E:接点入力 8ch、接点出力 4ch、アナログ電流入力 4ch(4–20mA)を持ち、接点やアナログ信号をイーサネットに変換したり、接点出力を行う機器です。TCP/IP・UDP・Modbus TCPなどで送信できる接点・アナログ信号/イーサネットコンバータになります。
DN9200Eシリーズ:接点8ch分を光ファイバ経由で伝送し、遠隔側で最大接点8chで出力する接点と光を変換する機器です。
DNIOAEシリーズ:当社製の収納ラック(DNHD12Eシリーズなど)に搭載して使用できる、 接点 I/O アダプタ(入力 10ch・出力 10ch)です。SNMP ユニットと組み合わせて接点状態のIP化やメディアコンバータのリンク状態の接点出力が可能です。
DNCOAEシリーズ:当社製メディアコンバータに接続し、 メディアコンバータのリンク状態・電源状態を接点出力できるアダプタです。
ここからは、これらの製品がどのようなシーンで活用できるか、
製造/通信業界の 2 つの視点から「活用イメージ」としてご紹介します。
〈目次〉 1.【製造】制御システム・生産ラインでの活用イメージ 活用イメージ①:センサからのアナログ値と接点情報をまとめてIP化(DN9400E) 活用イメージ②:ノイズの多いラインで接点を光伝送する(DN9200E) 2.【通信】基地局・伝送設備の遠隔監視イメージ 活用イメージ③:ラック内のメディアコンバータ状態を接点で取り出す(DNIOAE・DNCOAE) 活用イメージ④:遠隔局の簡易 I/O を IP 経由で取り込む(DN9400E) あとがき

【製造】制御システム・生産ラインでの活用イメージ
活用イメージ①:センサとアナログ値を接点情報とまとめてIP化(DN9400E)
製造現場では、以下のような設備が多く存在します。
・温度、圧力、流量などの4-20mAのアナログセンサ
・扉開閉、赤外線センサ、非常停止ボタンなどの接点信号
・上記を監視する中央監視盤やSCADAシステム
これらに対して新しい設備を導入する場合コスト面が問題になりやすくなります。
そこで既設の設備に対して当社製品を用いてコスト面を抑えられる構成は以下の通りです。
・各装置近くにDN9400Eを配置
・DN9400Eからはイーサネット(TCP/IP、UDP、ModbusTCP)で上位システムへ送信する

DN9400Eは、
・既存監視システムに対して外付けで設置しやすい
・複雑なプログラミングは不要で設定できる
・接点情報やアナログ値をイーサネットフレームに変換して送信できる
・ModbusTCPにも対応しており、登録済みIPアドレスからのアクセスに限定できる
というような特徴があり、工場の信号をネットワークを通じて小規模監視や制御も一括監視するイメージを描きやすくなります。
活用イメージ②:ノイズの多いラインで接点を光伝送する(DN9200E)
モーターやインバータなど装置や設備が多数ある生産ラインでは、長距離を接点信号で引き回すとノイズの影響を受けやすくなります。
そこで、
・生産ライン側にDN9200E(入力側:DN9200WSGE-I-DC12V)を設置し、接点入力8chの情報を光ファイバで伝送
・制御室側にDN9200E(出力側:DN9200WSGE-O-DC12V)を設置し、光ファイバで伝送された情報を接点8chで出力
という構成を行うことで、現場の接点情報をノイズの影響を受けず、光ファイバで長距離伝送し、安定した通信が行えます。
また、本装置はIP化を行わないため、パルス幅の短い信号にも対応可能です。(最小パルス幅3msec)

【通信】基地局・伝送設備の遠隔監視イメージ
活用イメージ③:ラック内のメディアコンバータ状態を接点で取り出す(DNIOAE・DNCOAE)
基地局や伝送設備では、19インチラックに多数のメディアコンバータが収容されているケースがあります。 それぞれのリンク状態や電源状態を、既存の接点監視システムに取り込みたいというニーズに対しては、
・当社製収納ラック DNHD12E / DNHD6E などにメディアコンバータとあわせて DNIOAEシリーズ を実装
・DNIOAE-IM に、各種接点センサを入力
・DNIOAE-OM からは、ラック内メディアコンバータのリンク状態などを接点で出力
・SNMP 対応のユニットと組み合わせることで、接点入力状態のIP化を実現
といった構成が考えられます。


また、収納ラックに搭載しない単体のメディアコンバータに対しては、対応する当社製メディアコンバータに DNCOAEシリーズ を接続し、
・ポートごとのリンク状態
・本体電源状態
・リモート側のリンク状態、電源状態(リモート監視機能付きのメディアコンバータ使用時)
などを、最大 8 回路のリレー接点で取り出すことができます。 これにより、既存の接点監視盤や遠隔 I/O システムに、メディアコンバータの状態をそのまま収容することができます。

活用イメージ④:遠隔局の簡易 I/O を IP 経由で取り込む(DN9400E)
通信局舎や小規模局のキャビネットでは、
・扉開閉スイッチ
・漏水センサ(接点)
・温度・湿度などのアナログセンサ(4–20mA) といった信号を本社側で把握したいケースがあります。
そのような場合に、局舎内に DN9400E を設置し、
・接点入力 8ch に扉・警報等を接続
・アナログ入力 4ch に環境センサを接続
・既設 IP 網を通じて、Modbus TCP や UDP で監視サーバへ送信 といった構成をとることで、
遠隔設備の I/O 監視をシンプルに構成することができます。
また、DN9400Eは専用の監視・制御アプリがあるため、視覚的にもわかりやすく監視・制御を行うことができます。

あとがき
今回は、製造・通信業界の2分野で、
- DN9400E:接点入力 8ch、接点出力 4ch、アナログ電流入力 4ch(4–20mA)を持ち、接点やアナログ信号をイーサネットに変換したり、接点出力を行う「接点/アナログ信号・イーサネットコンバータ」
- DN9200Eシリーズ:接点 8ch を光ファイバで伝送する「接点/光変換器」
- DNIOAEシリーズ:収納ラックと組み合わせて接点状態のIP化や、 メディアコンバータの状態出力に対応する「接点 I/O アダプタ」
- DNCOAEシリーズ:大電製メディアコンバータのリンク状態・電源状態を接点出力する「接点出力アダプタ」
といった製品の活用イメージを簡単にご紹介しました。
実際のネットワーク構成や適合性は、現場の条件や既存設備によって変わります。 詳細な仕様は、ぜひ各製品ページでご確認ください。
「自社の工場や設備ではどのような構成が考えられるか知りたい」
「接点やアナログ信号をネットワークで扱いたいが、どの機種を選べばよいか迷っている」
といった場合は、お気軽にお問い合わせください。
用途や環境に応じた構成イメージをご提案いたします。
